書誌情報

Vol.40 No.2

書誌情報 フルテキスト
特集:第64回日本卵子学会学術集会 加齢とミトコンドリア
卵子ミトコンドリアと生殖医療
JMOR, 40(2) 35-41, 2023
HORACグランフロント大阪クリニック 〒530-0011 大阪市

ミトコンドリアは体のほとんどの細胞に存在するが,その形は臓器によって大きく異なる.そして,その主たる機能は細胞の恒常性を維持するためのエネルギー供給であり「Powerhouse」とも呼ばれている.ヒト卵子では小円形のクリステに乏しい形態のミトコンドリアが観察され,機能によってその分布を変化させる.近年,胚質不良が難治性不妊の主たる原因となっているが,その多くにミトコンドリア機能不全が関与すると考えられている.そこで,胚質改善のためにミトコンドリア機能を改善する試みが行われている.それには細胞工学的手法,NAD+量の増加やアジュバント療法,そしてホリスティックな方法がある.私たちは卵子幹細胞由来自家ミトコンドリア移植を胚質が極めて不良な患者に応用し,13名の健児を得た.現在さらに,この手法を改良し脂肪幹細胞由来の自家ミトコンドリアを用いる新しい方法を開発中である.

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