培養室に要求される人的環境は,機器等の物理的環境とともにそのパフォーマンスに大きく影響する.本邦でのいわゆる胚培養士のART臨床における立場は明確な規定がいまだ存在せず,その業務範囲も施設間で多様である.また,胚培養士の学歴・経歴も多様である.当学会の認定を得るのに必要な不妊治療施設における1年以上の実務経験の内容も所属する施設ごとに多様である.胚培養士の業務について規定する今後大切な事項であり,その上での教育・育成が考慮構築されるべきである.培養室人員配置に関しては,国内外の関連学会・組織により推奨される人員数の基準が示されているが,本邦の各施設の人員配置について,その現状が明確でない.過少な人員では胚培養士教育の面でも十分な体制が取れない状況にある.明確かつ統一的業務範囲や教育カリキュラムの策定と,人員配置に関してのさらなる検討が望まれる.