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Vol.39 No.2

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特集:加齢と生殖
母体の加齢に伴うヒト受精卵ミトコンドリア機能の低下
JMOR, 39(2) 75-80, 2022
大阪公立大学大学院医学研究科 〒545-8585 大阪市

女性の加齢に伴う生殖能の低下は,卵子の染色体異数性の増加や,ミトコンドリア機能の低下によると考えられている.しかし,母体の加齢とその胚のミトコンドリア機能との関係は不明であった.そこで,母体年齢と胚のミトコンドリア機能との関係およびL-カルニチンのミトコンドリア機能への影響について検討した.胚のいずれの発育ステージにおいても母体年齢とミトコンドリアDNAのコピー数には関係は認められなかったが,桑実胚の酸素消費率(OCR)は母体年齢とともに減少した.また,母体年齢とともに桑実胚から胚盤胞への発育速度も低下した.培養液へのL-カルニチン添加により,桑実胚のOCRが増加し,形態的に良好な胚盤胞形成率が改善した.単一胚盤胞移植後,L-カルニチン添加培地で培養した胚から29人の健常児が誕生した.桑実胚におけるミトコンドリア機能は母体加齢とともに低下しており,L-カルニチンはこれに対抗し得る有望な培養液添加物であることが示唆された.

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