生殖補助医療(ART)においては,当然のことながら,受精可能な成熟卵子の獲得とともに,必要十分な健常精子の回収が最重要因子である.そして,可能な限り配偶子の質的劣化を防ぐ目的により体外培養環境は体内環境に近づける努力がなされてきた.そのため,ART治療の際,精子は室温環境のクリーンベンチ内で処理後,37.0度に設定された加湿型培養器内にて,媒精もしくは顕微授精まで保管されてきた.しかしながら,近年,卵子のみならず,精子保管条件や精液処理に関する検討が多く行われているため,実施手順の再考の必要性により,近年当院で変更した点などについて解説する.