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Vol.37 No.2

書誌情報 フルテキスト
特集2:PGT-A の是非
PGT-Aに潜む“pitfalls”
JMOR, 37(2) 89-94, 2020
大阪急性期・総合医療センター 〒558-8558 大阪市

受精卵の染色体が異数性である場合,着床不全や流産といった妊孕能が低下する原因となる.そのため,胚移植する前に染色体の異数性について検査する着床前診断(Preimplantation genetic testing for aneuploidy; PGT-A)が開発され,生殖補助医療の分野では急速な広がりをみせた.より妊孕能が高い受精卵を移植胚として選択できるPGT-Aは,体外受精による妊娠成績を改善させるはずである.しかしながら,実際には未解決のままの技術的問題点が残っており,全ての症例にPGT-Aを運用することに対して否定的な意見は少なくない.その要因として,正倍数性(euploid)細胞と異数性(aneuploid)細胞が混在するモザイク胚の存在が大きい.本稿では,PGT-Aを行うために受精卵を構成する細胞の一部を採取する胚生検技術,および受精卵が有するaneuploid細胞に対する自己修復機能の2点から,PGT-Aに潜む“pitfall(落とし穴)”を覗いてみたい.

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