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Vol.37 No.2

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特集2:PGT-A の是非
着床前胚染色体異数性検査の有効性―診断の解像度および感度,特異度が胚移植結果に及ぼす影響―
JMOR, 37(2) 73-86, 2020
加藤レディスクリニック 〒160-0023 新宿区

PGT-Aの臨床試験の結果においては有用性を示す報告が多い一方で,対照群との間に有意差が得られない報告も散見される.本邦でも日本産科婦人科学会主導臨床研究が開始され,当院では移植当たり80%の生児獲得率が得られた.PGT-Aに反対の研究者は,胚盤胞のモザイク率が高いことにより診断感度の低下を誘導するとしているが,著者らの胚盤胞モデルでは,診断感度が90%の場合生児獲得率は64%と算出され当院で得られた結果とは乖離しているため,著者らは実際の臨床現場では高感度,高解像度の診断が実施されていると考える.それにもかかわらず,移植当たりの成績が改善されない場合は生検による胚へのダメージが疑われる.PGT-Aは,移植当たりの成績向上,流産率低下のメリットばかりでなく,デメリットとして生検の影響および低特異度による累積生児獲得率低下が予想されるため,受診前に自己意思決定できるような情報提供を行うことが重要である.

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