書誌情報

Vol.37 No.2

書誌情報 フルテキスト
特集1:管理胚培養士セッション~日ごろのラボ業務からもう一歩先へ~
顕微授精後に受精させられなかった卵子から何を学ぶか?
JMOR, 37(2) 59-63, 2020
1亀田IVFクリニック幕張 〒261-8141 千葉市 2亀田総合病院 〒296-8602 鴨川市 3東京医科歯科大学 〒113-8510 文京区

【目的】顕微授精後に受精しなかった場合の対策を考察する.【方法】過去に行った顕微授精後の受精成績に関する比較検討から,顕微授精後に受精しなかった場合,特に,変性,0PN,1PN,3PNの対策を考察する.【結果】過去の比較検討から,破膜後にICSI針を奥に押し進めたときは,奥に押し進めなかったときに比べて変性率が有意に高いこと(10% vs. 14%),偏光観察により紡錘糸を確認できなかった卵子(未熟である可能性が高い)は紡錘糸を確認できた卵子(成熟している可能性が高い)に比べて0PN率と3PN率が有意に高いこと(0PN率:5% vs. 15%,3PN率:1% vs. 8%),精子選別を低倍率(400倍)で実施したときは,高倍率(1,200倍)で実施したときに比べて0PN率が有意に高いこと(3% vs. 11%),破膜時のICSI針内への吸引卵細胞質量が多い従来法(2,746 ± 940 µm3)は,破膜時のICSI針内への吸引卵細胞質量が少ないピエゾ法(0 ± 0 µm3)に比べて変性率と1PN率が有意に高いこと(変性率:5% vs. 10%,1PN率:1% vs. 4%)が示された.【考察】顕微授精後に卵子が変性した場合の対策は破膜後にICSI針を奥に押し進めないこと,および,破膜時のICSI針内への吸引卵細胞質量を少なくすること,0PNだった場合の対策は顕微授精を実施する時期(卵子の成熟度)と精子選別を見直すこと,1PNだった場合の対策は破膜時のICSI針内への吸引卵細胞質量を少なくすること,3PNだった場合の対策は顕微授精を実施する時期(卵子の成熟度)を見直すこと,と考えられた.

Keywords: 顕微授精 生存 変性 受精 
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