卵胞発育期に顆粒膜細胞は増殖し,分化することで,卵胞直径は拡大し,排卵刺激に反応する排卵前卵胞へと発達する.細胞増殖の仕組みは,卵胞刺激ホルモン(FSH)により活性化されるcAMP依存的なシグナル伝達系,その標的遺伝子などが詳細に明らかとされているが,細胞分裂に必要なエネルギー生産(ATP合成)機構については不明な点が多い.さらに,なぜ卵胞直径が拡大しなければ排卵刺激への感受性を獲得できないのかは,全くわかっていない.本総説では,顆粒膜細胞はミトコンドリアにおける遺伝子発現とタンパク質合成依存的な呼吸代謝でATPを合成しているというエネルギー生産機構とそのエネルギー生産依存的な細胞増殖によるLhcgrプロモーター領域のDNA脱メチル化について紹介する.