書誌情報

Vol.36 No.2

書誌情報 フルテキスト
特集:卵子学会トピックス2018
ヒトES細胞の臨床応用
JMOR, 36(2) 91-97, 2019
国立成育医療研究センター研究所再生医療センター生殖医療研究部 〒157-8535 世田谷区

再生医療とは,病気やけがで機能不全になった組織や臓器を再生,あるいは補助する医療であり,再生医療技術は創薬などへの応用も期待されている.再生医療が注目される理由は,難病を克服するという医療や生命科学研究の発展だけではなく,慢性疾患や高齢化にともなう疾患を治癒することによって,社会保障費の抑制など医療経済的な観点と新たな産業を生み出す可能性が大いに期待されることにもある.わが国では,再生医療の実用化を促進する制度的枠組みが整い,医療のみならず再生医学や再生医療関連産業のさらなる発展が期待されている.多能性幹細胞であるヒト胚性幹細胞は,1998年に樹立が報告され,2010年には米国で脊髄損傷患者に対して臨床試験(First in Human Trial)が開始された.これまで有効な治療法がなかった疾患にも効果が期待できる画期的な治療法となることが期待される.本稿では,再生医療の開発の概略についてES細胞を中心に概説しその期待と課題について述べる.

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