
ウシ未受精卵子は細胞質内脂肪滴を多く含み,表面積/体積比が最も小さくなる球形で脱水効率が悪いため,凍結・融解法により超低温保存しておくことは困難だった.しかし超急速冷却工程を特徴とするガラス化・加温法を適用すれば,新鮮対照より蘇生率(胚盤胞作製効率)は劣るものの,ガラス化・加温卵子の体外受精(IVF)または顕微授精(ICSI)によって良質な胚盤胞を作製できるようになっている. 本稿ではまず,超急速冷却工程を演出する卵子搭載デバイスの型と第二減数分裂中期でガラス化・加温したウシ卵子の蘇生率との関係を整理する. さらに,これまでに家畜においてガラス化・加温卵子の蘇生率改善に有効であると報告された低分子化合物(L-カルニチン,レスベラトロール,α-トコフェロール,Y-27632,など)はどんな化学構造を持ち,どのタイミングで処置すればどの程度の蘇生率改善効果を引き出せたか,紹介する.