
ヒト生殖補助医療において,胚の凍結保存は不可欠な技術となっている.凍結・融解技術の発展により,多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群のリスク回避など,多くの臨床的メリットが得られるようになった.また,凍結・融解胚移植では,胚と子宮内膜の同期化により臨床成績の向上が期待される.さらに,採卵あたりの累積臨床妊娠率の向上を通じて,患者の身体的・精神的・経済的負担の軽減にも寄与すると考えられる.凍結・融解胚移植の普及に伴い,現在では複数のメーカーから凍結・融解液や凍結デバイスが提供されているが,その特性やプロトコールは製品によって異なる.さらに,近年では従来よりも融解ステップを短縮したプロトコールも報告されており,胚培養士はそれらの有用性を見極め,自施設に適した手法を選択する必要がある.本稿では,凍結・融解キットの一種であるReady to Vitri/Warm Kitのプロトコールとともに,当院で実施している実践的な工夫を紹介する.