
生殖補助医療の成功率向上と安定化および安全性確保のためには,体外での胚の培養環境の質を担保することが極めて重要である.そのためには,性能の高い培養液の選択と保存法や使用法の遵守,インキュベータの温度とガスの適正管理はもちろんだが,それだけではなく胚に悪影響を及ぼす物質の培養液への混入を可能な限り抑制しなければならない.そこで本総説では,培養液に混入して胚に悪影響を及ぼす可能性のあるリスク因子として,微生物,揮発性有機化合物,アンモニア,微量元素を取り上げ,それぞれの混入源,胚への影響,そして対策について概説する.