
卵細胞質内精子注入法(Intracytoplasmic sperm injection: ICSI)は,体外受精治療において必須の基幹技術である.ピエゾICSIは,ピエゾ素子を用いてICSI針先端の超高速微小運動により発生させた超高速微小吸引により精子の不動化,透明帯の開孔,卵細胞質膜の破膜を半自動で行うICSI技術の一つである.ピエゾICSIは自動車の運転と同じで,正しく取り扱わなければ,逆に卵子を傷つけるだけの技術となる.当クリニックの2024年に4人の培養士により実施された3,716個の成熟卵子に対してのピエゾICSI後の変性率は2.0%(74/3,716),正常受精率は84.7%(3,149/3,716),胚盤胞到達率は69.9%(2,170/3,104)であった.ピエゾICSIのメカニズムと実際を紹介する.