Japanese society of Ova Research

Abstract

Vol.18 No.2

Abstarct Full Text of PDF
密度勾配を利用した耐凍剤平衡方法がウシ体外受精胚の生存率と受胎率に及ぼす影響
JMOR, 18(2) 67-71, 2001
DOI: 10.1274/jmor.18.67
1鹿児島大学農学部生物生産学科 鹿児島市 〒890-0065 2丸紅飼料(株)・技術センター 小野市 〒675-1355

密度勾配を利用した耐凍剤平衡法(密度勾配平衡区)を考案し、従来の方法である1段階平衡法(1段階平衡区)および3段階平衡法(3段階平衡区)と生存率および受胎率を指標として比較検討した。実験1(体外培養試験)では、体外受精日をDay0として発生培養の7~9日目に胚盤胞期に発生した胚を1段階平衡区(10%グリセロール)、3段階平衡区(3.3%、6.7%および10%グリセロール)、および密度勾配平衡区(試験管に下層より10%、6.7%、3.3%、0%グリセロール溶液を重層)の3区に均等に分配した。実験2(移植試験)では、7~8日目に胚盤胞期に発生した胚を1段階平衡区および密度勾配平衡区の2区に分配した。それぞれの区でグリセロール平衡を行った胚は、0.2Mシュークロースを含む10%グリセロール溶液に移した後、ス卜ローに封入し、プログラムフリーザーを用いて凍結した。融解はストローを液体窒素中から取り出し、10秒間空中に保持した後、38℃の微温湯にて解凍した。凍結融解後の胚を48時間培養した結果、密度勾配平衡区の生存率は3段階区に比べて有意に高い値を示した。1段階平衡区とは有意差はなかったものの密度勾配平衡区の生存率は高い傾向にあった(P=0.15)。胚の発生日(体外受精日を0として胚盤胞期に達した日)別に検討した結果、9日目胚が7日目胚に対して有意(P<0.01)に低い生存率であった。受胎率は、1段階平衡区と密度勾配平衡区で同様であった。以上のことから「密度勾配を利用した耐凍剤平衡方法」は、凍結解凍後の生存率を高める可能性のある方法と思われる。

Google Scholar