Japanese society of Ova Research

Abstract

Vol.17 No.2

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正常受精が確認できなかった胚の染色体構成の検討とその着床前診断の可能性
JMOR, 17(2) 73-76, 2000
DOI: 10.1274/jmor.17.73
東邦大学医学部産科婦人科学第1講座 大田区 〒143-8541

ヒト体外受精において、受精の判定は通常媒精または顕微授精16~18時間後に行なわれ、雌雄前核と第2極体の放出が確認された胚(2PN胚)は正常受精と判定される。ところが、臨床の現場ではこれに当てはまらない胚が少数存在し、その取り扱いに苦慮している。本研究では、受精判定時に前核が0個の胚(0PN胚)、1個(1PN胚)、3個(3PN胚)、4個(4PN胚)をatypical embryosと定義し、その実際の染色体構成を調べ、さらに着床前診断の可能性を探ることを目的とした。本研究に対するインフォームドコンセントの得られた24症例から得られた38個のatypical embryosの解析を行った。割球3個以上のatypical embryosは胚生検を行い、生検割球と残りの割球を13、18、21、X、Y染色体特異的プローブを用いたfluorescence in situ hybridizationにて解析した。割球2個以下の胚には生検は行わず、そのまま固定し解析した。対照として同24症例から得られた正常受精胚34個を用いた。基本的な倍数性が2nであったものは、0PN胚、1PN胚、3PN胚にそれぞれ60%、55%、44%、対照の2PN胚に73%認めた。3PN胚由来の2n胚には性染色体異数体を75%、13、18、21染色体異数体を25%認めた。また生検割球と胚全体の診断結果を比較したところ、診断効率は87%であり、誤診の可能性を認めた胚はモザイクが原因であった。Atypical embryosにも移植可能な胚を多く含んでいることが示された。また、その着床前診断が可能であり、診断効率は87%であった。モザイクによる誤診の可能性を13%の胚に認めた。

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