Japanese society of Ova Research

Abstract

Vol.15 No.2

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精子の前培養時聞がウシ胚の分割、発生と性差に及ぼす影響
JMOR, 15(2) 113-116, 1998
DOI: 10.1274/jmor.15.113
山口大学農学部獣医学科家畜臨床繁殖学研究室 山口市 〒753-8515

本研究では22時間体外成熟させたウシ卵母細胞を0、5、10、15、20時間前培養した精子で体外受精し、胚の分割、発生と性差について検討した。卵母細胞はFSH、過剰排卵処置ウシ血清(SCS)加TCM-199培地内で38.5℃、5%CO2の条件下で22時間成熟培養した。精子はカフイェンとヘパリンを含むBrackett and Oliphant's液で前培養後、卵母細胞を入れて媒精を5時間行い、5μg/ml Insulin、5%SCS加TCM-199のドロップ内で発生培養した。分割率は受精後48時間目に、胚盤胞率は8日目に調べた。性判別は凍結融解胚を1/2に分割し、XYセレクターを用いたPCR後、電気泳動像から性判定した。受精後の分割率は精子を0、5時間前培養したグループが他のグループよりも有意(P<0.01)に高く、胚盤胞率では、前培養時間を0時間としたグループが他のグループよりも有意(P<0.01)に高かった。発生ステージ別に分けた胚盤胞、拡張、脱出中、脱出胚盤胞の各割合は各前培養時間別に差がなかった。また、精子前培養の0、5、10、15時間別に発生した胚盤胞の性別は雄雌別にそれぞれ5:7、5:7、5:7、6:6となり性差はなかった。これらの結果から精子の老化が受精に不利な影響をもたらすこと、精子の前培養時間の長短で胚に性差が誘起されないことが明らかにされた。

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