Japanese society of Ova Research

Abstract

Vol.15 No.2

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種々の組織培養液を用いたウシ体外受精胚の作出
JMOR, 15(2) 109-112, 1998
DOI: 10.1274/jmor.15.109
山口大学農学部獣医学科家畜臨床繁殖学研究室 山口市 〒753-8515

本研究ではこれまで報告されてきた各種の組織培養液を用いてウシ体外受精を行い、胚の発生率を比較検討した。ウシ卵母細胞の体外成熟と発生を目的にTCM-199、Brinster、Ham'sF-10、mCR1aa、mBavister、mSOFの各培地を用い、BO液を媒精に用いた。その結果TCM-199、mBavisterとmSOFにおける分割率と胚盤胞率がそれぞれ80.6%と33.2%、49.5%と25.7%、59.8%と19.0%の割合になった。これに対してBrinster、Ham'sF-10とmCR1aaでは、それぞれ31.6%と0%、38.3%と0%、36.0%と9.9%となり前者のグループに比べて低かった。次にmBavister液を用い、グルコースの添加、無添加別に胚の発生を比較したところ、胚盤胞率がそれぞれ25.7%と15.7%となり前者で有意(p<0.05)に高かった。またBO液又はmSOFを媒精液として用いた実験での胚の分割率と胚盤胞率はそれぞれ59.8%と70.0%、19.0%と20.6%となり両者に差異はみられなかった。このことからTCM-199、mBavister並びにmSOFは体外成熟、体外発生に有効であること、mBavisterの発生培地へのグルコース添加はその後の胚の発生に有効であること、mSOFは体外受精においてBO液と同様の効果のあることが明らかにされた。

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