Japanese society of Ova Research

Abstract

Vol.13 No.2

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ウシ初期胚内における複数の遺伝子発現に関する検討(アンチセンスRNA-RT-PCR法)
JMOR, 13(2) 125-129, 1996
DOI: 10.1274/jmor.13.125
1北海道農業試験場畜産部 札幌市 〒062、2家畜改良事業団家畜バイテクセンター 東京都品川区 〒140 3家畜衛生試験場北海道支場 札幌市 〒062、4畜産試験場繁殖部 茨城県稲敷郡茎崎町 〒305

1個のウシ初期胚から作成したアンチセンス(aRNA)RNA溶液をRT-PCR法の材料として用いる方法(aRNA-RT-PCR法)により、1胚内の複数の遺伝子発現を調べることが可能かどうか検討した。凍結保存した2細胞期~胚盤胞期までの体外成熟・体外受精卵を材料として用いた。T7-RNA合成酵素の認識結合配列が連結したoligo(dT)逆転写用プライマーによる逆転写と2本鎖cDNA合成の後に、T7-RNA合成酵素を用いた転写反応によって100μlのaRNA溶液を作成した。aRNAの逆転写には、増幅鋳型として5μlのaRNA溶液(1/20)と、ウシのβ-アクチン(bActin)の塩基配列を基に合成したセンス側(aRNAに対する第1cDNA鎖合成に必要)またはアンチセンス側(mRNAに対する第1cDNA鎖の合成に必要)のプライマーを用いた。続いて両プライマーを用いたPCRを行い、アガロースゲル電気泳動により増幅産物を確認した。その結果、aRNAの逆転写でセンス側プライマーを用いた場合に増幅産物が確認され、アンチセンス側プライマーのみを用いた場合には確認されなかった。以上のことから、aRNA-RT-PCR法によりウシ初期胚の複数の遺伝子発現を検討できる可能性が示唆された。

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