Japanese society of Ova Research

Abstract

Vol.13 No.2

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ジスルフィド結合還元剤処理牛精子の顕微注入後の膨化および雄性前核形成
JMOR, 13(2) 118-121, 1996
DOI: 10.1274/jmor.13.118
東北大学農学部動物生殖科学講座 宮城県仙台市 〒981

本実験は、ジスルフィド結合還元剤処理による牛精子核の膨化を検討した。実験1:in vitro下で影響を調べた。その結果、Tris-HCI中の50mM以上の高濃度ジチオトレイトール処理で、30分後、80%以上の精子核膨化が認められた。5mMのジチオトレイトールと1%のドデシル硫酸ナトリウム界面活性剤の併用処理ですべての精子核が速やかに膨化した。一方、50mM以下のグルタチオン還元型の単独処理あるいは界面活性剤との併用処理では精子核の膨化がみられなかった。実験2では、ジチオトレイトールの単独処理による精子核の膨化状態は溶液中の塩濃度に影響されることがわかった。実験3:Tris-HCI中の5mMのジチオトレイトールあるいは5mM濃度のグルタチオン還元型で前処理した牛精子を体外成熟牛卵子へ顕微注入し精子核の変化を調べた。注入6時間後で雄性前核形成率はそれぞれ49.0と7.4%であった。対照区ヘパリン処理精子(5.3%)と比べ、前者は有意に高かった(P<0.01)。以上の結果、牛における顕微受精の場合、注入精子の雄性前核形成にプロタミンのジスルフィド結合の還元を誘起する前処理を行うことが有効である可能性が示唆された。

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