本実験は、初代培養、継代培養および継代凍結保存ウシ卵管上皮細胞の中間径フィラメントの変化を明らかにし、初代培養細胞および継代凍結保存細胞の胚発生支持能を検討するために実施した。ウシ卵管より単離し、培養された細胞の形態的変化は、継代凍結保存細胞を含め、継代5代目まで観察されなかった。また、間接免疫蛍光染色法の結果より、初代培養細胞では、抗サイトケラチン抗体の蛍光が検出されるが、抗ビメンチン抗体および抗デスミン抗体の蛍光が検出されないことから、これらの細胞は上皮細胞であることが強く示唆された。しかし、2代目以降の細胞で、ビメンチンの反応も検出されたため上皮細胞の性質は変化したことが示唆された。ウシ卵管上度細胞の発生支持能を。ウシ単為発生胚との共培養によって検討した結果、胚盤胞までの発生率は初代および継代凍結保存ウシ卵管上皮細胞を用いた場合、それぞれ29.8%および28.3%であり、両区の間には有意差のないことが示された。このことから、ビメンチンの発現とウシ単為発生胚の発生支持能は無関係であることが推察された。